もうだいぶ以前のことです。京大全共闘で活動した北小路敏という政治家とタクシーで一緒に移動したことがありました。

その北小路敏さんがいった言葉、「トロツキーやエンゲルスにしても、彼ら個人は家族にとっては、善い父親であり、子供であったのです」が、今でも印象に残っています。

世界をくくるものはいろいろあると思う。家族と遺族、メッセージがあるのは遺族だ。

世界には肌の違い、宗教・政治思想・様々な隔たりが人間にはあります。

でも気づいたことに、70億の人類のすべて、先人たちの遺族であることだった。
2011.11.28 Mon l つぶやき l コメント (0) トラックバック (0) l top
母が亡くなって来年は13回忌だ。父は27回忌になる。

父も母も、私の日常に、なくてはならない人として、よく思いの中に登場する。

そんな登場の仕方に、喪(も)と呼ぶようにして、26年が経った。

その登場の仕方の喪は、母が亡くなってから、かなり頻繁に訪れるようになった。

そんな訪れる父や母への思いを、喪として、見えない喪服とした。

「いつ着たのか、いつ脱いだのかわかならい、巡る年月となって潤して欲しい」とみずからに望み、言い換えた。

裸の王様の故事を、喪服としたのだった。

裸の王様の見えない服は、恥ずかしかっただろうが、訪れる喪は、一生にわたって巡る年月となって欲しいと望んだのだった。

失った悲しみや寂しさ、遺(のこ)された、それを喪失感というのかどうでもよいが、回復とか立ち直りとか思いもしない。

あるがままだ。自分が生きる上でオアシスでもある。

人は最愛の人を失ったとき、得てして孤独となる。その孤独さの表現は人の数ほどに無数だ。

人の数ほどに無数で、当たり前のことだ。それでいいと思う。


その当たり前のことが、当たり前でない人がいた。

50半ばの長男を亡くした男親だ。その男親は、妻と別居しながら亡くしていた。

私には、長男を亡くすことがどんなに耐えられないことか?も、遭遇したことはないのでわからない。

三回忌の法事であった。

嫁さんに聞いた。「親父さんはどうしたの?」

途惑いながら長男の奥さんが話した。「行きたくない」ですって。

彼女の口から言葉がドット出た。

だが、親父のその気持ちは、息子を亡くした親として解るような気がしていた。

でも嫁さんや、子ども達にとってはずっと現実的で、もっと苦しかった。その苦しさの中、明るく、励まし合っていた。

そういえば、13ヶ月の余命と宣告されて、最後は、胃がんが腹膜から大腸に転移して人工肛門になって、長男は亡くなったが、最後まで、親父は「いやだ」と言って病院にも行かなかった。

父親の心も頑なで、溶けない心だ。

その長男の末期に、嫁さんは長男を呼び戻そうと語りかけていた。

最後の最後に、「質問ばかりして、ご免なさい」と、謝ったという。

長男の視線が朦朧となったとき、「ねえ見える、私の目が見える」とのぞき込んだという。

すると、長男は笑みを浮かべた。

それが最後だった。

夫の最後まで尽くした彼女は、今も夫の喪を、何よりも大切にしている。

だからこそ、父に出席してもらいたっかのだ、三回忌に……
2011.11.06 Sun l こころ l コメント (0) トラックバック (0) l top
訃報は、本当に突然にやってくる。

言葉少ない人だった。
お盆のお参りに行くと、彼女は介護用ベッドの上に……
息子さんが介護をする。

仏壇に向かうと、彼女は起きようともがく。

「そのままで、よいですから」と私。

「母は、正座は苦にしませんから」と弟。

そんな彼女が亡くなった。87歳だった。

お寺に来た兄弟二人は、インターネットで検索した、《旅ナビ柏崎の石地》の資料を持参した。

この漁村で生まれ育ち、ふる里を後にしたのだ。

「石地は、夕日が美しいのです」と、兄。

ふと、「日の出は?」と私。

「日本海に向かって家々があり、背に山々を背負っているから……」と。

「そうか、ここは中越地震の震源の近くだ」と思い出した。

あれから4年が過ぎ去っている。柏崎の様子も、見事によみがえったような。
心の傷は見えないが、景色は大きく変わった。

「そうだ、東の本大震災に襲われた地域は、朝日が美しい。
瓦礫におおわれた街にも、朝日が美しかった。
今も、悲しみや不安におおわれている。

人って、生き続けることが、鎮魂の祈りであることを考える。
その生き続ける意味は、まるでマラソンのリレーのようにだ。

忘れない……

残された者が、それぞれに生き続けることで、亡くなったものの魂は生き続けるような。
忘れない……

人が住み続け、生き続けることで、必ず街は生き返るのだ。
忘れない……

過去、日本の多くの町や村が震災にみまわれたではないか……
忘れない……

夕日を……
朝日を……

忘れない……
貴女を……
2011.11.03 Thu l こころ l コメント (0) トラックバック (0) l top