古池や蛙とび込む水の音

2010/11/05 17:51
芭蕉のことを記しながらも、『古池眞伝』に記されている伝記を示さなかった。
それは、鹿島根本寺から深川の芭蕉庵に来た仏頂禅師、庭を見回しながらも放った言葉だ。

「近日何の有る処ぞ」
芭蕉は、「雨過ぎて青苔を洗ふ」と、答えた。
この語に対して、仏頂二の矢を放った。「如何なるか是れ青苔未生以前の仏法」と。

その時、庭の池に蛙が飛び込んだ。
芭蕉はそのまま、「蛙とび込む水の音」と答えた。

その答えに仏頂禅師は「珍重、珍重」と喜んだいう。そして持っていた如意を芭蕉に渡した。

『長老、席上に紙毫を取りて、本分は無相なり。我は是れ什麼物ぞ。若し会せずんば、汝等諸人の為に一句子を下さむ。看よ、看よ。一心法界、法界一心。と書して書風子に示したまへば、其の時始めて法界と一心の水音に耳開けて、実に桃青翁の省悟を、おのおの随喜しけるなり。』

「蛙とび込む水の音」に対して、杉風、嵐雪、其角等のその席にいた弟子が、頭の五字を考えた。「宵闇や」、「寂しさや」「山吹や」と付してみたが芭蕉の意に添わなかった。最後に芭蕉「古池や」と置き、それぞれが感嘆したという。
『古池眞伝』に、俳禅一味の顛末が記されている。



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