悪性です。

2011/01/02 09:40
親族のことで、いざこざがあると、ずっと以前に彼女から、聞いたことがあった。
「その後、落ちつきましたか?」と聞くと、手で胸からお腹を指し「あちこち手術をして」と言った。

「良性ですか?」と聞くと、「悪性でした」と飛び出してきた。

すこし沈黙のあと、顔色を見ながら「薬は?」と聞くと、「少しですが飲んでいます」と言う。

でも笑顔がただよっているので、「ガンは人間を生きていることを考えさせるでしょう?」と言う。
「そうですね。何だか世界が変わったような」と。

「今まで生活の追われながら、振り返ることもなかった、見つめることもなかったものが、見えてきましたか?」

「感情が豊かになったような……」

「今まで考えもしなかった命の近さ、何気ない自然や人の人間の行為が見つめられる機会を与えてくれるますか」と言うと、「そうですね」と笑顔で話す。
「そしてまぶしさや輝きが新鮮に自分を覆いませんか」と。
肯く彼女。

「ガンからそんなものが与えられるとは思わなかったです……」と。
「ここまで来るためには、辛かったことが多かったですね」と。

彼女は「有り難うございました」と帰って行った。

無は、「私は、自分の心を識らない」と、有に言った。
有は、「私は、自分の心ばかりが見えるのです」と、無に言った。



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