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終の棲家は決まったが、いつなのかは決まっていない。



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一人になってしまったが、独りではない。
今日の午後、よく知る彼が墓参した。

ちょうど法事が終わった後だったが、彼は、話さなければならないことがことがあった。

それは、地方に嫁いだ姉が亡くなったことだった……

その姉は、高く遠くにも聞こえる声で笑顔を振りまいて話す人だった。

「ご住職!」と声が聞こえた。

彼女は笑っていた。

思いだして見ると、笑顔だけが記憶にある。彼女の母も笑顔が似合った人だった。もう2年近く会っていない。

75歳を過ぎていたはずだった。

私の「病気ですか」に、彼は「自殺でした」と答えた。

私の「鬱病ですか?」に、彼はお姉さんのことを話してくれた。「…………躁鬱病でした」と。

自殺した前日に、彼は姉と話していた。そんな気配は感じなかったらしい。

しかし、彼は姉の心の病に遠方から電話で、時には逢うことで気遣っていたのだ。

彼あてに遺書が書かれていたらしい。「子ども達をよろしくお願いします」と。

「自分に何ができるだろうか」と、彼の中で、問いが繰り返しているかに見えた。

……。

帰りしな、母も、兄弟もいなくなり、「一人になってしまいました」と笑みを浮かべた。

残されたものにとっては一人だが、彼は独りではない。

よき妻も、独立した素晴らしい子もいる。

でも一人と言わせるものが心の中にあるのだ。

でも彼は独りではない。しかし、独りといわせる時間がある。

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