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今年も敬老の日がやってきた。
もう何年も前です。映画監督の新藤兼人が、《老人のこころは、そんな穏やかなもんじゃありません》と言っていました。

今、私も、ほんの少し老いに入る時期を迎えて、あらためて彼の言葉を噛みしめています。

そして同じ頃でしょうか、芥川賞作家の、大江健三郎が、《老いの知恵など聞きたくない、むしろ老人の愚行が聞きたい。》と自ら、老い真っ盛りの時期に発していました。

愚行と言えば、アインシュタインの、あの舌を出し「アカンベエ~」と言いながら、笑う姿に、老いのしたたかさを見ます。

誰に対して舌を出して、笑っていたのでしょうか?

老いて格闘する相手がじぶん自身であるなら、あのアカンベーを見せるのも、じぶん自身なのだろうと……。

「老いとは、じぶん自身の衰えを知る」ことから始まると思うのですが、そんな自分に、舌を出して「アカンベエ~」と、活き活きと愚考する老いの姿があると思います。

それはけっして、閑かな穏やかなものではなく、醜くもなく、美しくもなく、羞恥でもなく、汚らしくもなく、円熟でもなく、世に言う悟りでもなく、退けるものでもなく、だからこそ、老いは深く素晴らしく思えるのです。

この日になると喜ばしいような、まるで季節の到来でしょうか。

何回目になるのか、何十回目になるのか、こうして敬老の日を迎えられて、本当にお目出度いことと思っております。

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