開静と開枕

2008/01/22 17:55

開静と書いて”かいじょう”、開枕と書いて”かいちん)、これが修行道場での、”起きなさい””お休み”の呼び名です。

私が南禅寺の専門道場に行っていたときは、必ず井戸の水がからんでいました。坐禅堂に畳一枚に夜寝る雲水は、かしわ布団にくるまって寝ます。まるで柏餅のアンコのようにです。

坐禅堂は障子を閉めています。ぞの坐禅堂の前に、井戸があり、その井戸水は石鉢に注がれています。

その水をヒシャクで掬(すく)って洗顔をするのですが、夜間は水が入っていませんので、朝、役位の雲水が、井戸を汲んでその石臼に水を入れる音を柏布団にくるまりながら聞き、開静の心構えとするのが、雲水の日課でした。

石鉢に水を入れ終わるや、禅堂の障子戸が、バタンバタント力強く開け放され、「開静!」と大声で役位が叫ぶや、手に持った鈴を、降り続けるのでした。

その音を聞くや、上がりがまちの梁に、頭を乗せてて眠る雲水は、一斉に、柏布団を開き、畳一畳の頭上にある棚に、その柏布団をくるくると丸めて放り投げます。

そして、その梁をまたいで、瓦敷きの床にそろえておいてあるゴム製の履き物をはき合掌、開け放たれた後門の敷居前に急ぎ、くっると回転して前門にむかって合掌、そのまま履き物を脱ぎ、石鉢に歩を進めるのでした。

これが開静の雲水一斉の動作ですが、それが何秒という秒単位の出来事です。これを禅堂に過ごす限りは、何年も同じことを繰り返すのですが、年数を重ねた者の動作は、水の流れのように、滞ることはありません。

席を離れた動作は、席につく動作となり、冬なれば藍染めの木綿衣をつけ、座布団の上で正座をして、本堂にて鳴る木の打ち合わせの音を待つのでした。

やがて木が成り、雲水は雁行(がんこう)して、本堂へ朝課を急ぎ、その日の日課が始まるのでした。




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