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何が人を動かすのか

 仏教は、「その都度の行為によって、自己・私がある」といいます。

 諸行無常の移ろいの一瞬一瞬に、そのつどの自己があることなのですが、人は、それを永続性のなかに、変わらぬ自分として観ています。

 現代舞踏のピナ・バウシュは、その行為を動かすものに魅入られ、「人がどう動くかではなく、何が人を動かすかに興味がある(7月8日朝日新聞朝刊)」と読みました。

 昨日、葬儀があったのですが、この葬儀全体について、「何が人を動かすのか?」と、考えました。

 遺影が、祭壇の前にいる私たちに微笑みかけ、何かやすらいで、癒される思いを感じたので、そのことを、葬儀社の女性社長に尋ねました。女性社長は、「シミをぬき、写真に化粧を施し、修正しました」と、聞かせてくれました。「祭壇の花はいかがでしょうか?」と、尋ねられました。

 懸命に花祭壇を造られているものの、出棺の前のお別れで、花々の多くはもぎられ、棺に入れられます。

 私は見ていました。

 女性社長は、花がもぎ取られた祭壇の緑を、見苦しくないように、指図するのを……。挨拶に立ったときの背景を考えていました。考えてみれば、当たり前のことですが、その当たり前のことが、普通はできないのです。

 「何が人を動かすの」かをです。この遺影で私たちを見つめる笑顔や祭壇を含め、葬儀に携わった多くの人の輪の行為は、旅立ちをする故人と、遺族への想い、そして別れそのものに、それぞれが動かされたものです。

 そして私も、「何が人を動かすのか」を、改めて、動かされた私を考えてみると、私とは関係そのものと気づき、故人にとっても、様々な生前の故人がいたことになります。

 今は、忍ばれるだけですが……。



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